黒川弘務・元東京高検検事長(64)らの賭けマージャン問題を巡り、東京地検は18日、不起訴(起訴猶予)とした後、東京第6検察審査会から「起訴相当」と議決された黒川元検事長を単純賭博罪で東京簡裁に略式起訴した。
同審査会が「不起訴不当」とした産経新聞記者2人と朝日新聞元記者については、再び起訴猶予とした。
発表などでは、黒川元検事長ら4人は新型コロナウイルスの感染拡大で緊急事態宣言が発令されていた昨年4~5月、産経記者宅で4回にわたり賭けマージャンをしたとしている。
関係者によると、地検の事実認定は起訴猶予とした時点から変更はないが、黒川元検事長については、検察官としての職責や、3人よりも年長者で賭けマージャンを止めることができる立場だったことなどを考慮し、略式起訴が相当だと判断を変えたという。
賭けマージャン問題は昨年5月に発覚。4人は同月以降、常習賭博容疑などで複数の市民団体から刑事告発された。地検は同7月、「旧知の間柄の娯楽だった」として常習性は認めなかった一方、単純賭博罪にあたると認定。その上で、黒川元検事長が訓告処分を受け、辞職したり、記者ら3人が懲戒処分を受けたりしたことも踏まえ、全員を起訴猶予としていた。
これに対し、同審査会は同12月、黒川元検事長について、「刑罰法規を承知し、賭博行為を自制・抑止すべき立場にあった以上、起訴猶予の判断は誤りだ」として、起訴が相当だと議決。記者ら3人については、「黒川氏を取材対象とする記者らが賭けマージャンを定期的に行った動機や事情が判然としない」として不起訴不当と議決したため、地検が再捜査していた。
単純賭博罪の法定刑は50万円以下の罰金か科料。