JR九州の青柳俊彦社長は26日の定例会見で、新型コロナウイルスの影響で列車利用者の減少が続いているとして、来春のダイヤ改正で福岡都市圏の在来線を減便する方針を明らかにした。「需要減退に応じて規模縮小が必要だ」と述べた。鹿児島線などが中心で、都市圏以外でも減便を検討する。
JR各社は毎年3月に一斉にダイヤを改正する。JR九州は2018年3月の改正で会社発足以来最大の減便を実施。九州新幹線西九州(長崎)ルートが暫定開業する22年度まで大幅改正はしない予定だったが、新型コロナの感染拡大で計画が揺らいだ形だ。対象路線や区間などは今後の需要を見極めながら決める。
感染拡大で在宅勤務や大学のオンライン授業が普及し、通勤通学に支えられる都市部の利用が特に減少しているという。青柳社長は「今後も完全には回復せず、戻ったとしても7、8割になるだろう」と述べた。
同日公表した鉄道収入は4月1日~8月24日の5カ月間で前年同期比65・0%減の311億円で、578億円の減収。8月は前年同期比63・2%減。6、7月は回復の兆しもあったが、新型コロナの感染再拡大の影響で外出・帰省自粛が強まり、再び下落した。
7月の豪雨では計3本の鉄道橋が流失するなど甚大な被害があり、復旧へ新たな負担も生じる。最も損害が大きかった肥薩線は月内にも原形復旧する場合の費用を算出予定だが、氾濫した球磨川の治水方針が固まらない限り、具体的な方針は決められないという。
西日本鉄道も既に鉄道のダイヤ見直しについて具体的な検討作業に入っており、減便は各地の公共交通事業者に広がる可能性がある。